低価格なプチプラコスメから超高級なデパートコスメまで、同じ化粧品なのに価格が大きく違う理由とは?
成分や効果だけでは語れない、「化粧品の販売価格」について。実際にかかる製造コストや、イメージ戦略としての「超高額コスメブランド」についても紹介します。
化粧品の価格① プロモーション・デザイン・販売・流通コスト
化粧品の販売価格には、「化粧品の中身」以外にも多額のコストが含まれています。まずはブランドの広告費や、販売・流通に関わるコストからチェックしてみましょう。
広告・プロモーション費
CM・雑誌・ネット・SNS広告など
化粧品の価格には、製品を宣伝し、ブランドの認知度を高めるための「プロモーション費」が含まれます。
例えば、テレビCMや雑誌広告、インターネット、SNS広告などのメディア・プロモーションには、多額の費用がかかります。
一流ブランドは広告費も一流
一流のブランドでは、ブランドイメージを維持し、製品のプレミアム感を高めるために、多額の広告費を投じます。
有名タレントを起用した大規模なプロモーションは、私達に「このブランド良いな・欲しいな・気になる」といった興味を抱かせますが、その広告費は製品価格に上乗せされて販売されます。
パッケージングやデザイン費
「中身より、容器が高い」なんてことも!
豪華で美しいパッケージのブランド・コスメは、見ているだけでテンションが上がり、欲しくなりますよね。
そんなブランドイメージを決定する「パッケージ・デザイン」は、化粧品の売上を左右する大きな要因です。
心が踊るようなパッケージには、多額のデザイン費や製造コストが必要で、驚くことに「コスメの中身よりもパッケージが高い」ということが多々あります。
プチプラ化粧品と、ブランド化粧品のボトル
ドラッグストアに並ぶプチプラ化粧品は、プラ容器やビニール梱包が一般的で、パッケージにかかる費用は低価格です。
ですが高級ブランドコスメは、美しいガラスや陶器のボトルに収められ、上質なショッピングバッグに包まれて販売されます。
当然ながら、豪華なパッケージングや高級感のある容器にほ、多額の製造コストがかかります。
海外向けやギフト品はパッケージ費が高額
高級ブランドが展開する「海外向け品・ギフト品・限定コスメ」は、重厚感のあるボトルやラグジュアリーな見た目が好まれるため、こだわったデザインが多く、パッケージ代が高くなります。
売り場の維持費・人件費・流通コスト
化粧品は、「どんな場所で、どんな売り方をするか」によっても値段が変わります。
百貨店や美容カウンターは高コスト
デパートや高級専門店で販売される製品は、売り場の維持費や販売手数料がかかります。
また、専門のトレーニングをつんだ美容スタッフが接客するため、人件費も高くなり、コスメの販売価格が高くなります。
通販限定や、量販店は低コスト
一方で、オンライン販売や、ドラッグストア・量販店での販売は、流通コストや場所代、接客の人件費を抑えられるので、販売価格を低く抑えられます。
「通販限定」で販売コストを抑えたTOUT VERT
「ブランドのイメージ戦略」としてのプレミア化
「最高級ライン」は価格も超プレミアム
化粧品ブランドの中でも、ブランドの顔として発売される「最高級ライン」は特別な存在です。
最高級ラインの販売価格は、ラグジュアリー感や希少性を高めるため、あえてプレミアムな高額帯が設定されることがあります。
コスパ度外視のリッチな成分&プレミア価格
最高級ラインでは、プレミアムな価格帯と、最先端の技術やリッチな成分を惜しみなく使うことで、顧客の「欲しい」や「憧れ」「使ってみたい」といった気持ちを刺激します。
また、そのようなプレミアムなイメージ付けは、ブランド全体の価値向上にも役立ちます。
特に海外向けのインバウント需要やギフト品では、プレミアム化された高価格帯なラグジュアリー商品が好まれます。
化粧品の価格② 成分の原価コスト
「原価が高い成分」を使うと、高くなる
化粧品の値段は、製造にかかる原材料費や製造プロセスによっても変化します。
希少価値の高い天然成分や、最新テクノロジーを駆使した成分は原価が高く、高濃度で配合するほど、販売価格が高くなります。
天然由来の希少な成分
天然由来やオーガニック成分を多く使ったコスメは、その希少性や抽出の難しさにより原価コストが上がります。
原価の高い成分 – 希少性が高い天然由来の成分
アルガンオイル、ローズオイルなどの天然由来の精油やオイル
生薬・ハーブ・きのこ・海藻などの抽出物
プラセンタ・スクワラン・ロイヤルゼリーなど生物由来の抽出物
天然の香料など。
これらの成分は、原材料そのものが高く、また、化粧品として安全に使用するための技術が使われるため、高純度・高濃度・高品質になるほど製造コストが上がります。
天然の成分 例
スクワランオイル:深海ザメ由来の保湿成分。─ HABA スクワラン Am / 楽 / メルカリ
ダマスクローズ・オイル :希少価値の高いダマスク種のバラの精油。保湿効果だけでなく、素晴らしい香りが特徴。
アスタキサンチン:シミ・シワ・紫外線に赤い美容成分。赤い美容液「アスタリフト」に配合されていることで有名。
アスタリフト Am / 楽 / メルカリプロテオグリカン:年齢肌・ハリ不足・肌荒れ ─ セラム Am / 楽
オリゴペプチド:ハリ不足・毛穴・目立ちに
プラセンタエキス:くすみ・ハリ不足に
特許成分や、最先端の成分
特許を取得している技術や成分、大量生産が難しく希少な成分、最先端の成分などは、原価コストが高くなります。
抽出や安定化が難しい成分を、最新のテクノロジーで製品化した成分。
特許化された有効成分。
ブランド独自のテクノロジーによる成分など。
ちなみに、スキンケア関連の特許の取得件数は、1位 花王、2位 資生堂、3位 LOREALという結果が出ています。*
どの企業も多数のブランドを展開している大手であり、スキンケア企業としての総合力を測る目安として役立ちます。
花王:COFFRET D’OR・AUBE・est・LUNASOL・RMK・ソフィーナ・キュレルなど
資生堂:クレ・ド・ポーボーテ・IPSA・DプログラムNARS・イッセイミヤケなど
ロレアル:イヴ・サンローラン・キールズ・シュウ ウエムラ・ランコムなど
(*参考:特許分析のパテント・リザルト)
原価が高いスキンケア成分
原価が高い成分の例をいくつかピックアップしました。これらの成分が高濃度で含まれる化粧品は、原価コストが高くなる傾向があります。
成長因子系の成分
ヒト幹細胞培養液 - アンチエイジング効果 ─ ヒト幹細胞 Am / 楽
EGF(ヒトオリゴペプチド-1) ターンオーバーを促進して肌を再生。 EGF美容液 Am / 楽
FGF 肌の弾力・ハリ・コラーゲン生成
美白系
トラネキサム酸 Am / 楽
トラネキサム酸とは、美白・シミ・ソバカスに有効な成分。しみの根源に働きかけ、肌がメラニンをつくり出す前にアプローチします。
フラーレン Am / 楽
フラーレンとは、美白・くすみ・乾燥・毛穴・ハリ不足などに効果が高い成分。高い抗酸化能力があり、肌の老化を抑えるエイジングケアに効果的です。
特許系・独自開発の成分
ライスパワー®エキス
ライスパワーNo.11 Am / 楽ライスパワー®エキスとは、コメ醗酵エキスの中でも、特に高い効果が認められた発酵エキス。
現在14種類が商標登録されており、なかでもライスパワー®No.11は、厚⽣労働省より「⽪膚⽔分保持能の改善」が認められている数少ない成分です。
コメ醗酵エキス界のスーパーエリート
プチプラ化粧品にも「コメ醗酵エキス」を配合したものは多いですが、ライスパワー®は、コメ醗酵エキス界の超エリートのような存在。ライスパワー®を配合することで、販売価格も高くなります。
ライスパワー®エキスはKOSE 米肌シリーズやライスフォースシリーズに配合されていることでも有名です。
シワや年齢肌、乾燥肌・アンチエイジングケアとして高い効果があり、アンチエイジング成分として非常に高い人気があります。
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*ライスパワー®は勇心酒造の商標品。
ピテラ
ピテラとは、高級コスメ「SK-II」に含まれる天然由来の発酵成分。ガラクトミセス培養液の一種ですが、SK-II独自のプロセスで発酵させた特別な発酵エキスで、高い効果が期待できる保湿成分として人気があります。
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ミラクル ブロス
高級保湿クリームである「ドゥ・ラ・メール」に含まれる、ジャイアント シーケルプ(海藻)などからなる独自の保湿成分。─ ドゥ・ラ・メール Am / 楽
最新テクノロジーを使用した成分
浸透力や安定性を高めるために、最新のテクノロジーや特殊で複雑な製造法が使われた成分は、原価が高くなります。
肌への浸透力を高めた成分
肌の奥まで安定して届けるのが難しい成分を、独自技術で安定化した成分。
(ナノテクノロジーやリポソーム化の技術など)
APS(リン酸型ビタミンC誘導体) – ビタミンC誘導体の効果を高め、肌への働きを強化した美白成分。シミに対する効果が皮膚科学会で発表されている。 ─ リン酸型ビタミンC誘導体 Am / 楽
APS高配合のコスメとしては、「トゥヴェール ホワイトニング・シリーズ」が有名です。
これらの成分は、スキンケアとして高い効果を期待できますが、研究開発費や、製造プロセスに高度な技術が必要であり、製造コストが高くなります。
化粧品の価格③ 製造・仕入れ・研究・開発費
効果を得られる化粧品を作るときに欠かせないのが、「製造・仕入れ・研究・開発費」などです。
製造や販売規模の大きさ – 製造・仕入れ
製品の生産量によっても製造コストや研究開発費が変わります。
製造規模やが大きいほど、大量仕入れや、効率的な製造プロセス、技術の転用が可能になるので、製造コストを下げることができます。
また、販売規模が大きければ、廃棄在庫や流通に関わるコストも削減出来ます。
化粧品メーカーとしての歴史や規模 – 研究開発
大手コスメブランドは、開発コスパ良好
ブランドを多数展開する大手メーカーなどは、蓄積された研究データを幅広いアイテムで活用できます。
そのため、1つのアイテムに対しての開発費が安くなり、研究開発のコストパフォーマンスが良くなります。
有名ブランドのプチプラコスメは狙い目
例えば、低価格帯のプチプラ・コスメであっても、大手スキンケアブランドのものなら、ブランドが蓄積した研究データをプチプラコスメの開発にも活かせます。
また、プチプラコスメであっても、一流メーカーやブランドのものであれば、品質の管理基準が一貫して高い傾向があります。
ですので、大手ブランドのプチプララインは、「お値段以上の安心感や効果」があり、コスパ良好な思わぬ優秀コスメに出会えることがあります。
大手ブランドのプチプラ・ライン
ロート製薬のメラノCCシリーズや、「肌ラボ」シリーズ
コーセー グレイスワン Am / 楽 など。
コスパ度外視!ラグジュアリーを極めた最高級シリーズ
「ブランドのイメージ戦略」として、最高級ラインとして発売されているシリーズをピックアップしてみました。
各ブランドの「最高級ライン」なだけあって、中身もパッケージもコスパ度外視。ラグジュアリーを極めた、驚くような高価格帯のコスメ多数で、一見の価値ありです。
コスメデコルテ- KOSE
コスメデコルテ (Cosme Decorte) – KOSEとは
日本の老舗コスメメーカーであるコーセーが展開する最高級ブランド。KOSE独自の最先端技術を用いた革新的なアイテムが特徴。
日本・KOSE・コスメデコルテ 価格帯:約5,000円~
クレ・ド・ポー ボーテ – 資生堂
クレ・ド・ポー ボーテ (Clé de Peau Beauté) – 資生堂とは
クレ・ド・ポーボーテは、1996年に誕生した資生堂の最高級ブランド。世界に向けた「SHISEIDO」の最高級ラインであり、アンチエイジング製品が高い評価を得ています。
日本・資生堂・クレ・ド・ポーボーテ 価格帯:約8,000円~
クラランス プレシャス – CLARINS
クラランス プレシャス (CLARINS Precious) – CLARINSとは
フランスの老舗コスメブランド「クラランス/CLARINS」が展開する、ラグジュアリーライン。植物由来の希少価値が高い成分を使用したラインナップが特徴。
フランス・クラランス・プレシャス 価格帯:約15,000円~
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オーキデ アンペリアル – ゲラン
オーキデ アンペリアル – ゲランとは
「オーキデ アンペリアル」は、フランス皇室御用達としても歴史が古い「ゲラン/GUERLAIN」の、多機能エイジングケアとしての最高級ライン。
フランス・ゲラン・オーキデ アンペリアル 価格帯:約15,000円~ 20万円まで
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リニュートリィブ – エスティローダー
リニュートリィブ Re-Nutriv Collection – エスティローダー
リニュートリィブコレクションは、エスティローダー(Estée Lauder)の最高級ライン。ブランド創業者であるミセス エスティローダーが、自らのために創りあげたクリームが原点であり、極上のラグジュアリーと革新的な技術が惜しみなくそそがれています。
アメリカ・エスティローダー・リニュートリィブ 価格帯:約20,000円~
ジェネサンス ドゥ・ラ・メール – La Mer
ジェネサンス ドゥ・ラ・メール – La Mer
世界で愛される高級クレーム「ドゥ・ラ・メール」でも有名な、米国の高級ブランドであるラ・メール(La Mer)。
なかでもブ最高峰のコレクションである「ジェネサンス ドゥ・ラ・メール/Genaissance de la Mer」は、最高級でラグジュアリーな体験を提供します。
アメリカ・ラ・メール(エスティローダー系列)・ジェネサンス 価格帯:約40,000円~
スプレミヤ – sisley
スプレミヤ – sisley
スプレミヤは、フランスの超高級化粧品ブランド「シスレー(sisley)」のなかでも、さらにプレミアムな価格帯の最高級シリーズ。「眠っている間の肌」のケアに着目したナイトケアコスメが揃う、至福のエイジングケアシリーズです。
フランス・シスレー・価格帯:約20,000円~10万円超えも。
10万超えの商品も多く、まさに『驚きの高価格帯アイテム』が揃います。
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